“見よう”としない、“感じる”ように構える「ポートレイト撮影」

◆ 1.「美しさ」を固定せず、発見する

美しさとは一つの型に収まるものではありません。年齢、表情、姿勢、沈黙…そのすべてに、かけがえのない美が宿ります。
撮影者は、あらかじめ設定した「こう撮りたい」という欲をいったん脇に置き、その人が持つ気配や空気を感じながら、美しさを「探す」のではなく「受け取る」姿勢が大切です。


◆ 2.笑わせるのではなく、心が緩むのを待つ

ニコパチとは、カメラを向けられた時の「つくり笑顔」。これを超えるためには、笑わせるのではなく、安心して心が緩んでいく時間を大切にしましょう。
たとえば、撮影前に一緒にお茶を飲むとか、日常の話をするとか。人は、自分の存在を肯定されたときに、最も美しく表情がほどけます。カメラを構えない時間もまた、撮影の一部です。


◆ 3.光は「描く」もの、影は「包む」もの

光の演出にこだわるのは当然ですが、ニコパチを超えた写真を目指すなら、「影」をどう扱うかが鍵になります。
女性の輪郭、手の甲、首筋、まつ毛の影…。光だけでなく、影もまたその人の物語を語ります。
自然光であれば、カーテン越しの柔らかい光や、夕暮れ時の斜光。ストロボであれば、反射の加減や背景の落ち込みにも神経を。陰影を愛する目こそ、女性を美しく写す目になります。


◆ 4.「カメラに撮られている」ことを忘れてもらう

モデルの緊張をほぐすには、撮られていることを「意識しすぎない時間」を作ること。
シャッターを切るよりも、会話や沈黙を交える時間を大切に。
ポージングを強制するのではなく、彼女の「自然な仕草」が立ち上がってくるまで待つのです。たとえば、うつむいたとき、首筋に風が触れたとき、なにげない手の動き…。
一瞬の「無意識」が、最も美しい瞬間です。


◆ 5.衣装や背景は「引き算」で整える

派手な衣装や豪華な背景は、時にモデルの存在感を消してしまうことがあります。
シンプルなワンピース、素肌にニット、ベッドの上のシーツだけ…。
余計な情報をそぎ落とすことで、その人自身の「輪郭」や「気配」が立ち上がってきます。
美とは、引き算の中に残るもの。


◆ 6.“見よう”としない、“感じる”ように構える

レンズ越しに彼女を「観察」しようとするよりも、彼女の呼吸や存在感に「浸る」こと。
構図を考えるよりも、波のような動きの中で、ふと現れる「真実の一瞬」に対して敏感でいること。
シャッターは「押す」ものではなく、「応える」ものとして使いたい。


◆ 7.「美しさ」と「儚さ」は紙一重であることを知る

女性の美しさには、時にふとした「不安」や「儚さ」、「切なさ」が重なる瞬間があります。
それは目の奥の迷いであったり、指先の緊張であったり、遠くを見つめるまなざしの中にあったり。
完璧な笑顔ではなく、不完全さの中にある人間らしさを愛し、写し取れること。それが「ニコパチ」でないポートレイトの本質です。

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写真家です。アーティスティックな写真作品を制作してます。人物ばかり撮ってます。主にヨーロッパで活動してます。世界で最もメジャーな写真祭(アルル国際写真祭)に2016年に出展してます。

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