「子育て相談箱」中学受験:親から子へのアドバイスが難しい

中学受験における親と子のコミュニケーション:アドバイスが難しく、けんかになる場合の対処法

中学受験を控える家庭では、親と子の間で緊張が高まることが少なくありません。特に、親からのアドバイスが子どもにうまく伝わらず、意見の衝突やけんかに発展することは多くの家庭で見られます。子どもが中学受験に向けて努力している一方で、親の思いや助言が必ずしも受け入れられず、感情的になってしまうこともあるでしょう。

このような状況では、親がどのように子どもと向き合い、アドバイスを効果的に伝えるかが鍵となります。以下では、親から子どもへのアドバイスが難しく、けんかになってしまう場合の対応について、懇切丁寧にアドバイスをさせていただきます。

1. 子どもの感情に寄り添う姿勢を持つ

まず、親が子どもの感情に寄り添う姿勢を持つことが重要です。中学受験は、子どもにとって大きなプレッシャーがかかるイベントです。多くの子どもは、自分なりに不安や焦りを感じており、それが親とのコミュニケーションの中で表面化することがあります。親が子どもの感情を無視して一方的にアドバイスを押し付けると、子どもは反発しやすくなります。

そこで、まずは子どもの気持ちに耳を傾けましょう。何が不安なのか、何に困っているのかを丁寧に聞く姿勢が大切です。具体的なアドバイスをする前に、子どもがどのように感じているのかを理解し、その感情に共感することが、親子間の信頼関係を深める第一歩です。例えば、次のような言葉をかけることが有効です。

  • 「今、何が一番気になっているの?」
  • 「受験勉強、やっぱり大変だよね。」
  • 「どこが難しいと思ってるのか、教えてくれる?」

このように、子どもの感情をまず受け入れることで、対話の場を穏やかに保つことができます。

2. アドバイスのタイミングを見極める

親がアドバイスをしたくなる気持ちは理解できますが、アドバイスのタイミングも大きなポイントです。子どもが疲れている時や感情的になっている時にアドバイスをすると、反発を招きやすくなります。特に、勉強がうまく進んでいない時や、模試で結果が思わしくなかった時などは、子ども自身も気分が落ち込んでいる可能性があります。

このような時にアドバイスをすると、親の意図とは反対に、子どもが「攻撃されている」と感じてしまうことがあります。したがって、アドバイスをするタイミングには慎重になるべきです。子どもが落ち着いていて、リラックスしている時や、親との会話に前向きな姿勢を見せている時を見極めてアプローチしましょう。

例えば、夕食後や休日のリラックスした時間など、受験勉強とは少し距離を置いた時間を活用することが有効です。さらに、アドバイスというよりも、子どもの意見を聞き出す対話形式を取り入れると、子どもも心を開きやすくなります。

3. アドバイスを具体的かつポジティブに

子どもが受け入れやすいアドバイスをするためには、具体的でありながらポジティブな言葉を使うことが大切です。抽象的なアドバイスや、ネガティブなフィードバックは子どもにとって受け入れにくく、かえって不安を増幅させてしまいます。

例えば、「もっと頑張らないとだめだよ」という漠然としたアドバイスよりも、「この単元をもう少し深掘りすると、成績が上がるかもしれないよ」といった具体的なアプローチを提案する方が、子どもにとって受け入れやすいでしょう。また、成功体験を引き合いに出し、前向きな気持ちを引き出すような言葉も効果的です。「前回の模試で算数が上手くいったよね。あれは努力の結果だから、次も同じように頑張ろう!」といった具合に、ポジティブな面を強調しましょう。

4. プレッシャーをかけないコミュニケーションを心がける

中学受験は、親にとっても大きな出来事ですが、過度なプレッシャーをかけることは逆効果になる場合があります。特に、子どもがすでに自分自身にプレッシャーを感じている場合、親からの強い期待や無言の圧力は、子どものストレスを増大させる原因となります。

プレッシャーをかけないコミュニケーションのポイントは、「結果」よりも「プロセス」を重視する姿勢を持つことです。テストの結果や合格不合格にフォーカスするのではなく、日々の努力や小さな成長を認めてあげることが、子どもにとって安心感をもたらします。

例えば、「今日も一生懸命勉強してたね。それだけで十分だよ。」といった言葉をかけることで、子どもが自己評価を高め、より自主的に勉強に取り組むようになるでしょう。

5. 共通の目標を設定し、一緒に頑張る姿勢を見せる

親が一方的にアドバイスをするのではなく、共通の目標を設定し、子どもと一緒に取り組む姿勢を見せることも効果的です。中学受験は、子ども一人だけの戦いではありません。親子で共通のゴールを目指し、協力して進んでいくという意識を持つことで、子どもは心強さを感じます。

例えば、「今月の目標は、この科目を復習することだね。お母さんもサポートするから、一緒に頑張ろう!」というように、親も積極的に関わりを持ち、共に努力する姿勢を見せることが大切です。

まとめ

中学受験は親子にとって大きな挑戦ですが、親がどのように子どもと接するかで、受験の過程が大きく変わる可能性があります。アドバイスが難しく、けんかになりがちな場合でも、子どもの感情に寄り添い、タイミングや言葉遣いを工夫することで、建設的なコミュニケーションを築くことができます。親子で共通の目標を持ち、協力しながら進んでいくことで、より良い受験体験を作り上げましょう。

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個人経営で個別指導塾 塾長を50年続けてきました。 駅前で大手がひしめく中、運営してくことの難しさと個人経営であるが故の多様な在り方を実践してこれたことへの自負とがあります。 学習塾とはどうあるべきか、親は子へどのような接し方が”理想・現実”であるのか、ここにはすべて塾長の本音を記していきます。 そして今、老年期を迎え、「楽しく生きること」への模索を綴ってます。

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