「悩み 子育て」評論文、説明文は読めても、随筆文、小説文が苦手

評論文や説明文は比較的得意でも、随筆文や小説文が苦手だと感じる生徒は少なくありません。これは、各ジャンルが持つ特性に大きな違いがあるためです。ここでは、なぜこのような差が生まれるのか、その具体的な理由と克服方法を塾長として親御さんや生徒に分かりやすく説明しながら、具体例を挙げて解説していきます。

1. 評論文・説明文と随筆文・小説文の違い

まず、評論文や説明文は事実や論理に基づいて書かれていることが多いため、情報の整理や理解がしやすいという特徴があります。例えば、あるテーマに対して筆者の意見や考察が展開され、明確な結論が示されることが多いです。したがって、読者は文章の構造を辿りながら内容を理解しやすくなります。特に学校の試験では、情報を正確に理解し、適切に処理する能力が重視されるため、こうした形式の文章は得意な生徒が多いのです。

一方、随筆文や小説文は感情や情景描写が中心となり、主観的な要素が多く含まれています。随筆文では、筆者の個人的な体験や感想が自由に書かれることが多く、小説では登場人物の心情や物語の展開が重要です。そのため、感覚的な理解が必要であり、論理的に読み進めるだけでは理解が難しい場合があります。この違いが、随筆文や小説文を苦手と感じる原因の一つです。

2. 苦手な理由の具体的な例

例えば、評論文や説明文では、「水の循環について説明せよ」といった明確な問いに対して、一定の情報を整理して答えることができます。しかし、小説文では、「主人公がこの場面で何を感じたか」を問われた場合、登場人物の心理描写を読み取る力が必要です。感情の機微や細かいニュアンスを掴むことが苦手な生徒は、こうした質問に対して適切な答えを導き出すのが難しいと感じるでしょう。

また、随筆文においては、筆者の個人的な感覚や経験が散文的に描かれることが多く、明確な結論がないため、「この文章のどこに注目すればよいのか」と迷うことがあります。たとえば、夏目漱石の随筆では、日常のささいな出来事が淡々と描かれる一方で、その中に含まれる深い感情や気づきを読み取る力が求められます。こうした「感覚的な読み取り」ができない生徒にとって、随筆文は特に難解に感じられるでしょう。

3. 克服法

(1)感覚を鍛える

随筆文や小説文を読む力を養うためには、まず感覚的な読み取り方に慣れることが大切です。そのために、物語や情景の描写に対して、まずは感情を伴ったリアクションを取る練習をしてみると良いでしょう。例えば、「この場面で主人公はどう感じたか?」という問いに対して、自分自身がその立場だったらどう感じるかを考えてみることが有効です。感情を言語化する練習を繰り返すことで、登場人物の心情を理解する力が養われていきます。

(2)要点を見つける練習

随筆文や小説文には明確な結論がないことが多いですが、それでも文章の中に「筆者が最も伝えたいこと」や「重要な要素」が隠れています。これを見つける練習を繰り返すことも効果的です。例えば、短い小説やエッセイを読んで、筆者が何を感じ、何を伝えたいのかを一言でまとめる練習をすると、文章全体の流れをつかむ力がつきます。

(3)語彙力を高める

小説や随筆では、微妙な感情の表現や情景の描写に多くの比喩や修辞が使われます。こうした表現を理解するためには、語彙力が不可欠です。知らない言葉が出てきたときには、辞書で調べるだけでなく、その言葉が持つニュアンスや使い方に注意を払うことが重要です。たとえば、「淡い」という言葉は、色の濃さを表すだけでなく、感情や記憶がぼんやりとした状態を表現することもあります。そうしたニュアンスを理解することで、文章の深みを捉える力が向上します。

(4)感情移入の練習

特に小説文を読む際、登場人物に感情移入することが文章理解の助けになります。登場人物が直面する状況や感じる感情を、自分自身が体験しているかのようにイメージすることで、心情描写の理解が深まります。たとえば、あるキャラクターが孤独を感じている場面では、これまでの自分の経験と重ね合わせて、その感情を追体験してみると良いでしょう。

(5)具体的な例を使った読解

具体例を使って考えることは、文章の理解を助けます。たとえば、小説の中である登場人物が悲しんでいる場面があったとします。そのとき、そのキャラクターがどのような表現で悲しみを表しているかに注目し、「これは自分が悲しい時に感じる感情と似ているか?」と考えることで、感情の読み取りがしやすくなります。こうした具体例を使った読み取り練習を積むことで、文章を感覚的に理解する力が徐々に高まっていきます。

4. 家庭でできるサポート

親御さんとしては、随筆文や小説文の読解が苦手な場合でも、無理に読み進めさせるのではなく、まずは一緒に文章を読み、子供に感じたことや考えたことを自由に話してもらう時間を持つことが大切です。感情や考えを言語化する練習を家庭でも行うことで、学校での読解問題にも自然と対応できるようになるでしょう。また、親御さん自身が読書を楽しむ姿を見せることも、子供にとって良い影響を与えます。小説や随筆に対して「読むのが楽しい」と感じることができれば、苦手意識は徐々に克服されていくはずです。

まとめ

随筆文や小説文は、感情や情景描写を読み取る力が求められるため、評論文や説明文とは異なるスキルが必要です。しかし、感覚を鍛え、要点を見つける練習を積み重ね、語彙力や感情移入の力を向上させることで、苦手意識を克服することが可能です。親御さんのサポートの下、無理なく楽しみながら読解力を養っていくことが、随筆文や小説文の理解力を高める鍵となります。

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個人経営で個別指導塾 塾長を50年続けてきました。 駅前で大手がひしめく中、運営してくことの難しさと個人経営であるが故の多様な在り方を実践してこれたことへの自負とがあります。 学習塾とはどうあるべきか、親は子へどのような接し方が”理想・現実”であるのか、ここにはすべて塾長の本音を記していきます。 そして今、老年期を迎え、「楽しく生きること」への模索を綴ってます。

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