[ 悩み 子育て ] 偏食が過ぎる子供はどうすればよい?

偏食を持つお子さんへの対応について・・・長年、教育現場で数えきれないほどの子どもたちと向き合いながら、食事の問題が子どもの成長にどれほど深く影響するかを見てきました。その経験から、単に「食べさせる」こと以上に、子どもと親との「食を通した対話」が大切であると感じています。

1. 食事は人生を映し出す鏡

偏食を無理に矯正しようとするのは、子ども自身の感性や個性を否定することにもつながりかねません。ある子は食材の食感に敏感で、ある子は見た目に強く反応する。子どもたちにとって「好き嫌い」とは、自分の世界を理解する一つの手段なのです。例えば、「お皿の上にトマトが乗っているだけで泣き出す子」もいますが、それは彼らなりの自己主張です。その主張をまず受け止めてあげることが、偏食改善の第一歩です。

2. 共感と信頼から始める

親が「これも食べなさい!」と無理強いする姿勢は、子どもにとっては拒絶のサインとなり、さらに偏食が強まる原因となります。親自身も子どもと一緒に「どうしてこの食べ物が苦手なのかな?」と共に考えてみてください。その結果、子どもが「少しだけ試してみる」という小さな勇気を出すことができるようになります。私の教え子であったある男の子は、野菜全般が苦手でしたが、母親が一緒に料理を作りながら「これなら食べられるかも」と話し合いながら試したところ、少しずつ食べられるものが増えていきました。

3. 苦手な食材との「対話」を持たせる

50年の指導経験から言えば、子どもが嫌いな食べ物と向き合う際、「その食べ物を擬人化する」という手法は意外に効果的です。たとえば、「この人参さんは、君に元気を与えたくてやってきたんだよ」と話しかけてみると、子どもは「じゃあ、一口だけ食べてみようかな」と思うことがあります。食べ物を「敵」ではなく「友達」として捉える感覚を養うことで、偏食の壁を少しずつ崩していくことができます。

4. 家族全員が「食育」に参加する

食事は個人の問題ではなく、家族全員の問題です。私の経験から、家庭全体で「一緒に食べる喜び」を共有することが大切だと感じます。子どもが食事中に興味を持たない食材があった場合でも、家族が「これ、美味しいよ」と楽しそうに食べている姿を見せ続けることが、実は最大の教育です。子どもは「自分もあれを食べてみたい」と思うようになるものです。

5. 楽しく作る・楽しく食べる

長年の経験から、多くの子どもたちが調理に参加することで「食べること」への興味を持つようになることを目にしてきました。特に、子ども自身が食材を選び、自分で調理することで、「この食材はこんなに美味しいんだ」という新しい発見が生まれます。親御さんにお勧めしたいのは、週末に一度でも「子どもシェフデー」を設けて、親子で楽しく料理をすることです。

6. 偏食の背後にある心の問題に気づく

偏食は、時として心理的な要因と深く関わっています。教育現場で多くの子どもたちを見てきて感じるのは、「食べられない」のではなく、「食べたくない」という気持ちの奥に、家庭や学校でのストレス、心の葛藤が潜んでいる場合もあるということです。そのようなときこそ、無理に食べさせるのではなく、子どもの心に寄り添ってあげることが大切です。私が見てきた例では、ある子が、学校でのいじめが原因で食事が進まなかったというケースもありました。偏食は、子どもからの「助けて」のサインであることもあります。

7. 無理をしない

最後に、偏食を克服するために無理をしてはいけません。子どもが嫌いな食べ物を一切食べないからといって、すぐに大きな問題になるわけではありません。私が長年見てきた中で、偏食だった子が大人になってから食事の幅を広げたケースは数多くあります。焦らず、気長に見守る姿勢が大切です。

そして、もう一つ気を付けなくてはならないのが、偏食ではなく、実は、その食べ物自体にアレルギーや拒絶の反応を(心的ではなく)肉体的に起こしている場合もあります。 いずれにしても、無理強いはしないことが”安全策”となりますね。

食事は単なる栄養摂取ではなく、人生そのものを映し出す場です。子どもの偏食を通して、親としての成長、家族としての絆を深める機会にすることもできるのです。焦らず、ゆっくりと、子どものペースに合わせて、食の世界を広げていきましょう。

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個人経営で個別指導塾 塾長を50年続けてきました。 駅前で大手がひしめく中、運営してくことの難しさと個人経営であるが故の多様な在り方を実践してこれたことへの自負とがあります。 学習塾とはどうあるべきか、親は子へどのような接し方が”理想・現実”であるのか、ここにはすべて塾長の本音を記していきます。 そして今、老年期を迎え、「楽しく生きること」への模索を綴ってます。

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