50年の塾長経験から言えることですが、男の子の子育てというのは本当にエネルギッシュでダイナミックなものです。時に悩むことも多いでしょうが、このこと自体は決して「問題の本質」ではなく、男の子が持つ特有の魅力であり、成長の一環なのです。ここでは、その独特な成長プロセスを理解し、親御さんが心を楽にして子育てに取り組めるよう、具体的な例を交えてお伝えします。
前提としては・・・男の子は”痛い目”にあって、懲りないことには学ばないケースが多くありますが、女の子の場合は、言葉で納得すれば学べることが多いものです。
まず、「じっとしていられない」男の子の行動について。このエネルギーの発散が困難に感じるかもしれませんが、実はこの動きこそが、男の子の「世界の探究心」の表れなのです。昔、私が指導していた男の子がいました。彼は座っているのが苦手で、いつも教室内をウロウロしていました。普通なら「落ち着きがない」と叱るところですが、私は彼のエネルギーを活かすことを考えました。教室の中に簡単な運動用具を置いてみたところ、彼は授業の合間にそれを使ってリフレッシュするようになり、逆に集中力が高まったのです。これは、「エネルギーを抑えつける」のではなく、「エネルギーをどのように活かすか」という視点を持つことで、男の子の持つ潜在能力を引き出すことができる良い例であったと考えてます。
次に、感情表現の不器用さについてです。男の子はよく「どうしたの?」と聞いても「別に」としか返事しないことがあります。これを「無愛想」と捉えてしまうと、親として辛くなりますが、実際には男の子は「言葉で感情を表現する」というスキルをまだ磨いている途中なのです。ある親御さんから「うちの子は何も話してくれません」と相談を受けたことがあります。私は、その男の子が好きなことを一緒に体験する機会を増やすことを提案しました。例えば、一緒にサッカーをしたり、好きなアニメの話をしたり。すると、その男の子は少しずつ自分の気持ちを言葉にするようになったのです。男の子は「共に過ごす時間」の中で安心感を感じ、自然と心を開くものです・・これらは主に父親の役目ですが。
集中力のムラに関しても同様です。男の子は好きなことに対しては夢中になれるのに、興味がないことにはすぐに飽きてしまいます。これは決して「怠けている」わけではありません。実際に、かつて私の塾に通っていた生徒が数学に興味を示さず困っていた時、私は彼に「サッカーの試合でゴールを決めるまでにかかる時間を計算する」という課題を与えました。すると、彼は突然興味を持ち始め、数学の問題を自分で考えるようになったのです。「興味のあることと学習を結びつける」ことが、男の子の集中力を育てる秘訣です。
最後に、親御さん自身が「完璧な親でなければならない」と思いすぎないことが大切です。男の子は必ずしも親の期待通りに成長するわけではありません。それでも、彼らは自分のペースで確実に成長しています。ある日突然、今まで話さなかったことをポツリと語り始めることがあります。それは、長い時間をかけて親が寄り添ってきた証です。
男の子の子育ては、時に予測不能で、驚きに満ちています。しかし、それこそが彼らの持つ無限の可能性を示すものなのです。どうか、目の前の一つひとつの出来事を「成長のプロセス」として捉え、彼らの成長を温かく見守ってあげてください。親子で一緒に歩んできた道が、やがて彼らの力強い未来につながっていくことになります。
小学生の子供を持つ親御様へ
*親子関係と子供の様々な性格的問題・・
やれ!と言えばやるが、言わなければやらないループに入ってしまう
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