左ききのエレン
543円

お勧め書籍 『左利きのエレン』
世の中には、「努力すれば夢は叶う」という言葉がある。
確かに、それは間違いではない。
しかし年齢を重ねるにつれ、私はもう一つの現実を知るようになった。
世の中には、圧倒的な才能というものが存在する。
どれだけ努力しても届かない領域があり、どれだけ真剣に取り組んでも、最初から違う景色を見ている人がいる。
『左利きのエレン』は、そんな残酷な現実を真正面から描いた作品である。
主人公の一人である朝倉光一は、広告業界で働くクリエイターだ。
彼は努力家である。
情熱もある。
人より多く考え、人より多く働く。
しかし彼は「天才」ではない。
一方、エレンは違う。
常人には見えないものを見てしまう。
誰も思いつかない発想を生み出してしまう。
まさに天才である。
この作品の魅力は、単純な成功物語ではないところにある。
天才が主人公なのではない。
才能に憧れ、才能に打ちのめされ、それでも前へ進もうとする人間たちが主人公なのである。
私は長年、教育の現場に身を置いてきた。
すると、様々な子どもたちと出会う。
一度見ただけで理解してしまう子。
驚くほど豊かな感性を持つ子。
一方で、人の何倍も努力しながら結果が出るまで時間がかかる子もいる。
しかし社会に出て感じるのは、必ずしも才能だけが人生を決めるわけではないということだ。
才能は眩しい。
だが、継続する力もまた尊い。
『左利きのエレン』は、その両方を描いている。
だから読んでいて苦しくなる。
そして同時に救われる。
特に創作活動をしている人には強くお勧めしたい。
画家。
写真家。
漫画家。
デザイナー。
文章を書く人。
何かを表現したいと思ったことがある人なら、一度は心を揺さぶられるだろう。
なぜなら、この作品は「成功する方法」を教えてくれる本ではないからだ。
「才能とは何か」
「努力とは何か」
「自分は何者なのか」
という問いを投げかけてくる本なのである。
私自身、写真を撮り続け、絵画や人体表現に関わり、多くの創作者たちと出会ってきた。
その中で感じるのは、天才と呼ばれる人にも苦悩があり、凡人と呼ばれる人にも輝きがあるということだ。
『左利きのエレン』は、その事実を非常に誠実に描いている。
受験勉強に励む中高生にも、進路に迷う若者にも、創作に悩む大人にも読んでほしい。
読後には、誰かと比べるためではなく、「自分自身の歩幅で前へ進むこと」の意味を考えさせられるだろう。
もし今、自分には才能がないのではないかと悩んでいるなら。
あるいは、誰かの才能が眩しすぎて苦しくなっているなら。
ぜひ一度、『左利きのエレン』を手に取ってみてほしい。
そこには、才能の物語ではなく、人間の物語がある。
左ききのエレン
543円
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