お勧め書籍 「転生したらスラムだった件」

『転生したらスライムだった件』を読んで・・

異世界転生作品は数多い。

勇者になる者もいれば、剣士になる者もいる。王子や貴族として生まれ変わる者もいる。

しかし『転生したらスライムだった件』の主人公は違う。

彼は、社会の誰からも注目されない存在として生まれ直す。

スライム。

ゲームの世界では、最初に倒される雑魚モンスターである。

私は長く教育の現場に身を置いてきたが、世の中にはしばしば「スライム扱い」される人々がいることを知っている。

学校で目立たない子。
集団に馴染めない子。
学歴や肩書きで評価されない人。
社会の片隅で生きる人。

彼らは能力がないのではない。

ただ、評価される場所にいないだけなのである。

リムルは、そんな存在の象徴にも見える。

興味深いのは、彼が力を得ていく過程で「支配者」になるのではなく、「共同体の創造者」になっていくことだ。

仲間に名前を与え、
居場所を作り、
敵であった者とも対話しながら国を築いていく。

そこには現代社会が失いつつある理想がある。

競争ではなく共生。

排除ではなく包摂。

『転スラ』の本質は、最強主人公の無双物語ではなく、「居場所づくりの物語」なのではないかと思う。

私は不登校の子どもや、生きづらさを抱える若者について考えることが多い。

その視点から見ると、テンペストという国は非常に興味深い。

人間、ゴブリン、オーク、リザードマン、鬼人。

本来なら対立する種族が共に暮らしている。

現実社会で言えば、

成績上位者も、
発達特性を持つ子も、
不登校経験者も、
芸術家肌の子も、

同じ社会の中で尊重される世界である。

理想論と言われるかもしれない。

しかし物語とは、本来そうした「まだ存在しない未来」を描くためにある。

だから私は『転生したらスライムだった件』を、単なる異世界ファンタジーとしてではなく、

「誰もが居場所を持てる社会への願い」

として読んでいる。

スライムから始まる物語は、
実は人間についての物語なのである。

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私は東京生まれ、東京育ちで、慶應義塾大学出身。現在は数学教師として教壇に立つ一方、写真家としても活動しています。 20歳で絵画を始め、15年前から写真表現に取り組んでいます。写真は独学で学びましたが、その表現の根底には、幼少期から親しんできた浮世絵の美意識があります。また、Sandro Botticelli や Pablo Picasso の作品からも多くを学びました。 特に、Rembrandt Harmenszoon van Rijn が生み出した光と影の表現は、私の写真における構図や空間表現に大きな影響を与えています。絵画的な視点を大切にしながら、人間の美しさや存在感を写真で表現することを目指しています。

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