祈りが創る形
祈りとは、神仏への願いだけではない。人が有限の命を生きる中で、自らを超えた何かへ心を向ける行為である。その見えない営みは、やがて形を求める。石は仏となり、木は鳥居となり、紙は経典となり、そして人の身体さえも芸術となる。形は単なる物質ではなく、祈りが時間の中で凝縮された痕跡なのである。
私は人物を撮影するとき、美しい身体を記録したいのではない。その身体の奥にある、生きてきた時間や沈黙、希望や孤独を感じ取ろうとする。人の姿は、生命そのものが刻んだ祈りの形だからだ。
芸術とは、美を創造する技術ではない。目には見えない精神を、目に見える形へと変換する営みである。その瞬間、作品は作者のものではなく、時代を超えて誰かの心に届く「祈りの器」となる。私たちは形を見ているのではない。その形を生み出した、名もなき祈りに触れているのである。

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